法人会計

給与明細の作り方

給与明細の作り方

法定三帳簿と言われる

  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 出勤簿

などは
記載すべき事項や保存期間が
法令で定められているのに対し、

「給与明細」
記載すべき事項や保存期間を
法律で定められているわけではありません。

だからと言って必要ないものではなく、

  • 基本給や各種手当の金額
  • 源泉所得税や社会保険料の控除額
  • 口座振込みされた金額

といった上記の内容を法律により
社員に通知することが
義務づけられています。

その通知する際に必要なモノが
『給与明細』になります。

  • 給与明細に何の項目を記載すべきか?
  • 給与明細に必要なモノはなにか?
  • 給与明細の作り方はどうするのか?

などなど
給与明細を作ったことが無い方は
分からないことも多いかと思います。

今回は、
法人が従業員に給与を支払う際の
給与明細の作り方について
解説していきます。

給与明細に記載するべき項目

給与明細に記載するべき項目は、

勤怠時間

  • 出勤日数
  • 欠勤日数
  • 労働時間
  • 残業時間
  • 有給休暇取得日数
  • 有給休暇残日数

などを記載します。

支給額

  • 基本給
  • 時間外手当(残業手当)
  • 通勤手当
  • 家族手当

などの各種手当を記載します。

控除額

  • 所得税
  • 住民税
  • 健康保険料
  • 介護保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料

などの控除額を記載します。

口座振込額
支給額から控除額を差し引いた額
を記載します。

上記の4つが給与明細に
記載するべき項目になります。

給与明細の作成に必要なもの

給与明細を作成するにあたり、
記載するべき項目が分かったところで
次に、用意すべき書類やデータ
いくつかありますので見ていきましょう。

給与明細の作成に必要な
書類やデータは、、、

  1. 勤怠記録
  2. 住民税課税決定通知書
  3. 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
  4. 健康保険・厚生年金保険の保険料額表
  5. 雇用保険料率表
  6. 給与所得の源泉徴収税額表

上記1~3は
作成にあたり必要になりますが、

4~6は必須ではなく
あると便利な書類になります。

1:勤怠記録

勤怠記録に関しては、

  • タイムレコーダーで打刻
  • 勤怠管理システムで管理
  • ICカードで管理

など従業員の勤怠情報が
明確に把握出来るもの
管理しましょう。

※2019年に適用された
「働き方改革関連法」により、
紙やエクセルなどの自己申告型での
管理は禁止されています。

2:住民税課税決定通知書

住民税決定通知書とは、
従業員が住んでいる自治体に
納める住民税に関する情報が
記載されている書類です。

毎年1月31日までに
給与支払い報告書を自治体に提出すると
住民税課税決定通知書が、
5月末までに地方自治体から
送られてきます。

従業員ごとの毎月の住民税の納付額を
計算した通知書が企業宛に
送られてきますので
翌月の6月から翌年5月までの
従業員の毎月の給与から
差し引きします。

3:健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書

7月に健康保険・厚生年金保険の
被保険者報酬月額算定基礎届を
提出することで
標準報酬決定通知書
作成され
送られてきます。

送られてきた新しい
標準報酬月額をもとに、
毎月の給与から各従業員に
該当する社会保険料を計算します。

新しい標準報酬月額は
9月から適用になります。

4:健康保険・厚生年金保険の保険料額表

全国保険協会の公式サイトにて
各都道府県ごとに
保険料額表が見れます。

その標準報酬月額に当てはめることで
健康保険料が求められます。

都道府県ごとに保険料は異なります。

毎年改定されますので
最新の保険料率を

確認するようにしましょう。

5:雇用保険料率表

雇用保険料は、毎月の給与総額に
「雇用保険料率」をかけて
計算されます。

雇用保険料率は毎年見直しされ、
料率が変更される場合は
毎年4月1日から実行されます。

新型コロナウイルスの影響により、
2022年4月から雇用保険料率が
引き上げられています。

4月~9月までは
事業者負担分の料率のみ
上げられましたが、

2022年10月からは
事業者負担、従業員負担双方の
保険料率が上がっています。

厚生労働省のサイトにて
雇用保険料率のご案内で
雇用保険料率を見ることができます。

業種により保険料率は変わります。

6:給与所得の源泉徴収税額表

源泉徴収税額表は、

  • 所得税
  • 復興特別所得税

を源泉徴収するために
税額を計算する表のことを言います。

所得税は、

総支給額-控除額-非課税支給額
=課税対象支給額

をもとに
扶養親族の人数により税額が決まります。

年度によって
税額が異なる場合があります。

国税庁の公式サイトから
確認しましょう。

給与明細の作成手順

給与明細を作るときに
必要な項目や書類、データなどが
分かって頂けたかと思います。

次は給与明細の作成手順
見ていきましょう。

1:勤務時間の集計

タイムカードなどから、
実際の出勤日数勤務時間を集計します。

  • 残業時間
  • 休日出勤
  • 深夜残業

などの時間や日数も集計します。

2:時間外手当、各種手当の集計

勤務時間の中でも

  • 普通残業
  • 深夜残業
  • 休日残業

の時間を元に残業手当を計算します。

後は、

  • 通勤手当
  • 役職手当

など会社によって手当てがある場合は
計算しましょう。

各種手当は所得税の課税対象外に
当てはまるかどうか
把握しておきましょう。

3:総支給額の計算

上記の集計や計算が完了したら
全てを合算します。

基本給+時間外手当+通勤手当+各種手当
総支給額

4:控除額を計算

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 所得税
  • 住民税

などの控除額を計算します。

それぞれの計算方法は
決められた計算式によって
簡単に計算できます。

5:差引支給額を計算

3で計算した総支給額から
4で計算した控除金額を
差し引いた金額が
「差引支給額」になります。

総支給額-控除金額
=差引支給額

まとめ

給与明細を作成するには、
必要な項目や内容、書類など
理解しておく必要があります。

給与明細を作成するには
無料の給与明細作成ツール
などもありますのでそこまで
難しくありません。

各従業員ごとに金額が違いますし、
保険料の金額や料率などは
改定があったりしますので
毎年必ずチェックするように
しましょう。